ないものはない
まだまだITなどほど遠くクレジットカードも使えなかった頃のこと。
欲しい本があって本屋で探してはみたがない。
仕方がない。ワルシャワの一番大きな本屋さんまでわざわざ向かった。
在庫なども調べてもらえると思ったので、詳しく店員さんに尋ねてみた。
「ある本が欲しいのですけれど、ありますか?」
「そこになきゃないわよ」
「どうしても欲しいのですけれど、何か方法は?」
「そんなのわからないわ、ないものはね、ないの」
なるほど、その通りだ。
自分を持つということ
「隣人をみな愛せよ」というキリスト教の教えは浸透している。
困った人がいるとき、何か自分でできることを探していることが伺える。
しかし。
それと、自分の生きるスタイルは決して混同しない。
助けることは喜びであって負担ではない。
それは自分の生きるスタイルがしっかりしているから
手を貸すことに何の見返りも求めない。
ヨーロッパ人の笑顔
私はどれだけヨーロッパ人の笑顔に助けられたことだろう。
向かい合って座るとき、エスカレーターを譲り合うとき
ドアをエスコートしてくれるとき、ただすれ違うとき
どんな場所でも
自然に微笑み合えるそのとき
私は独りではないんだってほっとする瞬間。
人間が好き
たとえば通りを行きかう人とすれ違うとき
ふと目が合えば微笑みあえる。
電車が混んでいればチケットを手渡してスタンプの近くにいる人に
どんどんまわしていける。お願いします、ありがとう。
その人がどんな肩書きの人なんて重要ではない。
この地上に奇跡的に同じ時を共有する認識。
これこそが本当に大切なことではないかしら。
それを深く理解して、人と人との境界線を感じさせない
そんな付き合い方ができる生き方って素敵。
でもそれは、単純そうで、逆によっぽど自分が
しっかりしていなければできないこと。
だいじょうぶ
まだポーランドに行き初めの頃、
手続きにはいろいろ時間もかかるし
うまく事が運ばない苦労が多かった。
そんな時、
まわりのポーランド人から出てくる言葉がきまって
「だいじょうぶ、みんなうまくいくから」
その頃の私は、その言葉で励まされると
逆に腹が立った。
いい加減なこと言って・・みたいな。
でも、今はわかる。
どんな状況においても、
そう信じて励ますことの大事さを。